現代人は酸欠状態!酸素を取り込む呼吸法
私達人間は、酸素なくして生きられません。
2008年に105歳で亡くなった塩谷信男医師の著書「自在力」に次のような記述があります。
「現代人は、『息はしているが、呼吸をしていない』とわたしは考えています。
現代人の呼吸は非常に浅く、表面的なものであるため、みんな慢性的な酸欠状態に陥っている。
そのため、いつも軽度の高山病にかかっているような状態にあると思うのです。」
呼吸を浅くする原因として、忙しすぎる生活や猫背など前かがみの姿勢、口呼吸、きつい下着や、締め付ける衣服、ストレスなどがあります。
現代人特有の生活習慣や、体の使い方の癖が浅い呼吸を招き、生命力の源である酸素の取り込みを妨げているのです。
こうして作られる体内の酸欠状態が、ガンや多くの難病を生み出す要因の一つになっていると考えられます。
ヒトや動物などの生命体は、酸素をエネルギー源にして生命を維持しています。
細胞が酸素を取り込み、エネルギーを作る代謝を好気的代謝(こうきてきたいしゃ)と呼びます。
私達人間には、嫌気的代謝(けんきてきたいしゃ)と言って、酸素なしにエネルギーを作るシステムも備わっています。
ただし当然、生命活動を支えているのは酸素を使う好気的代謝です。
嫌気的代謝、つまり酸素呼吸無しで成長するのが胎児です。
「胎児が大きくなるメカニズムと、ガンが大きくなるメカニズムは同じである」と発表し、1931年にノーベル賞を受賞したのが、ドイツの生化学者オットー・ワールブルグでした。
「ガンが低酸素の状況で成長する」ということが、80年以上も前に判明しているのです。
現在、日本では年間30万人以上の人がガンで命を落としています。
いかに多くの人が息を詰めた生活を強いられているか、考えただけで胸が痛みます。
また、人体において全酸素消費量の20%を使うといわれているのが、脳の細胞です。
脳細胞は死滅するスピードが早く、再生もできないため、とりわけ酸欠に弱いのです。
つまり、慢性的な酸欠状態になっている現代人は、アルツハイマー病などの認知症になりやすいとも考えられます。
ガンや認知症予防には、たっぷりの酸素を取り込み、全身に巡らせることが大切です。
そこで効果的な腹式呼吸法をご紹介します。
1.お腹を凹ませながら口からゆっくりと息を吐く。
2.鼻から息を吸う。
次に口から息を吐くときは吸った時の2倍の時間をかける。
1度に何回行っても、一日に何回行っても構いません。
長生きのいきを「息」に置き換えてみて下さい。
長めの息が、長命と関係するのです。
更に「息」という字は自分の心と書きます。
心と呼吸が密接につながっていることを示唆しているのです。
腹式呼吸は
●不整脈
●不眠症
●うつや不安症状
に有効という報告が上がっています。
酸欠状態を改善するには、生活環境も大切なポイントです。
新鮮な空気が行き渡るよう、室内には緑の葉の多い植物を置き、こまめな換気を心がけましょう。
空気清浄機の設置も効果的です。
注意したいのが、睡眠中の換気です。
私達人間は、1日の3分の1を眠って過ごします。
冬場の締め切られた寝室は、暖房の種類によっては、酸欠に近い状態になります。
寝室にこそ、植物や空気清浄機を置いて、換気に努めて下さい。
また、炒めものをする際に発生する煙も、肺ガンのリスクになると発表されています。
台所の換気も心がけましょう。
参考文献
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